Q.校正に使用する分銅の重さは分解しても平気なのでしょうか?

台秤などを校正するときには、分銅もかなりの重さになります。JIS企画などでは、方法についても詳しい取り決めがなされていますが、その内容にしたがって行うとすると毎回負担も大きくなりますので、分解して利用したいと考える人もいます。もともとが正しくチェックされているものですので、分解しても問題ないという判断によるものですが、これはお勧めはできません。

前述のように、校正の方法は法令に基づいて定められています。このJIS規格などで定められている方法に従って行うことにより、誰が行っても公正さを証明できるということになっていますので、異なる手段による校正は認められません。もちろん、自社内での自主検査や点検として行う場合には、頻度も高いのでおおよそのチェックができればよいという条件で分解も可能ですが、精度が落ちる可能性は否めませんので、安定性を欠くことについてはあらかじめ覚悟が必要です。

もちろん、使用する分銅も定期的にチェックをする必要が有ります。機械とは違ってメンテナンスや定期的なチェックが不要ではないかと考えている人もいますが、素材によってはさびや腐食などで質量が変わることもありますし、メッキをしているものはメッキがはげてしまったり、傷や凹みなどで重量が変化することがあります。そのため、ISOではステンレスや真鍮などの鉄鋳以外の素材は通常3年、さびなどが発生しやすい鉄鋳は1年に一回、チェックをするのがよいといわれています。もちろん、分銅を落としたり、メッキのはがれや傷などを見つけた場合には、早めのチェックをしておきましょう。

ちなみに、電子式はかりの国家検定品については現地で校正を行わなければなりませんし、計量士が行うことが原則となっていますので、社内にいない場合には専門家に費用を支払って依頼しなければなりません。以上のことから、
A.分銅を本来に使い方ではなく、分解して校正に使用するということは、公正性や信頼性を著しく害することになりますので推奨されません。自主点検として利用するときには問題がありませんが、これまでとは異なる方法で行うことにより、精度が落ちてしまうということも考慮しましょう。また、私用する分銅についても、推奨されている期間に一度はチェックを行い、計量士がきちんと作業をすることで、より高い信頼性を確保できます。手間はかかりますが、全て規定どおりに行うのがセオリーです。